ニキビとサリチル酸
Date:2015/12/6
ニキビケアコスメの代表的な成分について調べてみるシリーズ第2弾。
「グリチルリチン酸ジカリウム」に続き、今回は「サリチル酸」について調べてみました。
コスメディナ:YAE
年齢:30代
肌質:混合肌
肌の悩み:大人ニキビ、毛穴の黒ずみ・目立ち
30代の主婦。肌質はべたつきがちな混合肌。
小学校のころから、ニキビに悩まされ続けています。
ニキビ跡や毛穴のざらつき、黒ずみなど、悩みはつきません。
サリチル酸ってどんな物質?
よく使われているサリチル酸は、基本的には化学的に合成して作られています。
ですが、もともとは柳の木の皮から発見された物質で、イチゴ、柑橘類、トマト、キュウリなどにも含まれている成分。本来は、自然由来の成分だったんですね…!
「原料が天然=肌に優しい」というイメージもありますが、合成されているものも、サリチル酸のようにもとは自然から抽出されているものも多いそうです。
その効能は?
サリチル酸には 解熱・消炎・鎮痛・殺菌作用があって、解熱剤や鎮痛剤、リウマチ薬に使われていた歴史があるそう。解熱鎮痛剤の「アスピリン」は実は、副作用の強いサリチル酸に代わって、サリチル酸から合成された「アセチルサリチル酸」という成分。
内服薬として使われていたなんて意外です!
サリチル酸は医薬品や化粧品の防腐剤として広く利用されていましたが、1980年にアレルギーの危険性が認められる成分「表示指定成分」に指定され、あまり配合されなくなったそう。
現在は、いぼや魚の目をとる医薬品や水虫の外用薬、ケミカルピーリング、ニキビ用の化粧品やフケを防ぐシャンプーなどに配合されていることが多いです。
皮膚に対する効能は、濃度によっても違ってきますが、ピーリングでの角質を除去する作用や、殺菌作用、固くなった角質をやわらかくする作用があります。
ニキビへのサリチル酸の効果は?
ニキビ治療の一つにケミカルピーリングがあります。
薬剤の「角質剥離作用」によって角質を溶かし、ターンオーバーを促進することでニキビを防ぐというもの。
私が初めて「サリチル酸」という言葉を知ったのも、ケミカルピーリングについて調べていた時でした。
以前したことのあったグリコール酸(※)ピーリングと比べて、ピーリング効果が高いのに副作用は弱く、皮脂や角栓も溶かすのでニキビには特にいいとのこと!
(※グリコール酸・・・サリチル酸と同じように角質を除去する作用があり、ケミカルピーリングに使用されます)
さっそく、予約を入れようとすると、私の通っていた皮膚科では、今はサリチル酸ピーリングはやっていないとのお返事...。
だから私にとって「サリチル酸」はちょっとした憧れなんです。
サリチル酸が配合されているコスメを見つけた時は、これでピーリングできる!?とワクワクしました。
ですが、サリチル酸入りのコスメは、ピーリング作用があるのでしょうか?
化粧品ではどのような効果が?
サリチル酸がニキビケアコスメに配合されているのは、殺菌効果がありアクネ菌を減らすことができるから。
また、ケミカルピーリングで利用されているように角質剥離作用もありますが、これはケミカルピーリングなど高い濃度で使用した場合。
サリチル酸の化粧品への配合は0.2%。ケミカルピーリングで使用する30%の濃度と比べるとかなり低く、角質剥離(除去)までの力はないです。(参考:化粧品基準 平成 12 年 9 月 29 日 厚生省告示第 331 号)
私が今まで試したコスメの中で、サリチル酸が入っていたのはプロアクティブ+、ノブACアクティブ、ファーストクラッシュの3つ。
それぞれの公式HPを見てみると、ファーストクラッシュには角質柔軟成分と記載されていました。
プロアクティブ+、ノブACアクティブは問い合わせてみると「古い角質をはがれやすくする効果もありますよ」と答えていただきましたが、公式HPには殺菌成分とだけ記載されています。
ピーリングというほど強い効果までは期待できませんが、ニキビの原因になる角栓は、角質層が硬くなって毛穴の伸縮が悪くなったり、硬くなった角質が毛穴の入り口をふさぐことでできるもの。
実際には角質を柔らかくする働きだけでも、ニキビを防ぐ効果はありそうです。
サリチル酸は、アクネ菌の殺菌と、角質を柔らかくするダブルの作用で、ニキビを防いでくれているんですね。
副作用は?
サリチル酸配合のコスメは、私の使ってみた印象では乾燥が強いと思います。皮膚の薄い唇についてしまった時は、ヒリヒリ感が続いたことも。
調べてみても、サリチル酸には、かゆみ、赤み、炎症、乾燥といった副作用があるようです。
今まで試したサリチル酸配合のコスメの中でも、肌がびっくりするほどカサカサになったものがありました。
ニキビへの効果もすばらしかったんですのが、これ以上使うとどうなるのかな?と不安になるほどのカサカサ。
逆にサリチル酸が配合されていてもあまり乾燥が気にならないものは、効果もあまり実感できなかったなぁという印象です。
サリチル酸が、ケミカルピーリングで使われるほどニキビに効果が高い成分だとしても、濃度によっては、あまり効果は感じられないかもしれません。
(どんな成分でも同じかな?)効果の強さも副作用の強さも、結局濃度次第ということになりそうです。
副作用としては、私のように強い乾燥を感じたり、肌の弱い方にはかゆみ、赤みなどが出るかもしれません。
また、サリチル酸は、水には溶けにくくエタノールや熱湯には溶けやすいという性質を持っているので、化粧品に配合する際にエタノールを使っている場合も多いです。
サリチル酸配合のコスメを使って肌が荒れたという場合は、もしかしたらサリチル酸そのものではなく、エタノールによるものという可能性もありますね。
参考:http://yoshida-pharm.jp/files/interview/6.pdf
ニキビとサリチル酸についてのまとめ
- サリチル酸の肌への作用は、30%程度の高濃度で使用すると、古い角質をはがす作用があり、ケミカルピーリングに使われていて、ニキビ治療として皮膚科でサリチル酸のピーリングをする場合も。
- 化粧品への配合量は0.2%で、その濃度だと、殺菌作用と、角質をやわらかくする作用がある。
- 副作用としては、かゆみ、赤み、炎症、乾燥などがあって、実際使ってみたコスメでは、ニキビに効果があるコスメほど、乾燥を強く感じた。
個人的には、サリチル酸のピーリングはいつか試してみたいなというのと、普段日常的に使うコスメは、サリチル酸の入っていない保湿重視のもの(例えば、ルナメアなど)にして、サリチル酸入りのコスメは、ニキビがひどくて何とかしたい時にしようかな?と思っています!